『伊賀越道中双六』は、曾我兄弟の仇討ちや赤穂浪士の討ち入りと並ぶ日本三大仇討ちの一つである〈伊賀上野の敵討ち〉に題材を採っています。発端から敵討ちに至る展開を道中双六に見立てて描いた義太夫狂言の名作です。
義太夫狂言の名場面といわれながら戦後の上演が二回しかなかった「岡崎」(山田幸兵衛住家)。平成26年(2014)12月国立劇場で、44年ぶりに待望の上演が実現しました。初代中村吉右衛門がたびたび勤めた唐木政右衛門を当代の吉右衛門が継承し、「岡崎」を物語のクライマックスとする場割により、通し狂言として上演しました。この公演は劇界で大きな話題となり、好配役による舞台は各方面で絶賛されました。その成果が認められ、歌舞伎の作品で初めて「読売演劇大賞」大賞・最優秀作品賞を受賞しました。
この優れた舞台をひとりでも多くの皆様にご覧いただきたく、「岡崎」を中心にした通し上演を再び取り上げます。中村吉右衛門の政右衛門を始め、前回出演した俳優陣が再び結集します。また、昭和6年(1931)以来86年ぶりに「円覚寺」を復活するなど、台本や演出をさらに練り上げ、より深い感動の舞台を目指します。通し狂言の上演や途絶えた作品・場面の復活に努めてきた国立劇場。開場50周年記念公演の締め括りにふさわしい珠玉の舞台にご期待ください!
- 初代中村吉右衛門の唐木政右衛門
大正8年(1919)3月 帝国劇場 - 左から三代目中村時蔵の政右衛門女房お谷、
八代目松本幸四郎(白鸚)の唐木政右衛門
昭和27年(1952)2月 新橋演舞場 - 左から初代中村吉右衛門の唐木政右衛門、七代目松本幸四郎の山田幸兵衛
昭和13年(1938)1月 歌舞伎座 - 左から七代目中村芝雀(現雀右衛門)の政右衛門女房お谷、中村米吉の幸兵衛娘お袖、中村東蔵の幸兵衛女房おつや、
中村吉右衛門の唐木政右衛門、中村歌六の山田幸兵衛、尾上菊之助の和田志津馬
平成26年(2014)12月 国立劇場