助成事業事例

文化庁文化芸術振興費補助金助成事業令和4年度助成事業事例集

ニッセイ名作シリーズ2022 ダンス×人形劇「エリサと白鳥の王子たち」

公益財団法人ニッセイ文化振興財団[日生劇場](助成金額:14,684千円)

撮影:三枝近志

活動概要

【財団の紹介】

公益財団法人ニッセイ文化振興財団[日生劇場]は、すぐれた舞台芸術を提供するとともにその向上を図り、わが国の芸術文化の振興に寄与することを事業目的として、1973年「ニッセイ児童文化振興財団」として設立され、1993年により広範かつ充実した活動を目指して「ニッセイ文化振興財団」に改称しました。

設立以来、一貫して「児童・青少年の育成」「舞台芸術の振興」「舞台芸術を支える人材の育成」という基本理念のもと、質の高い舞台芸術の上演に取り組んでいます。

【助成を受けた活動紹介】

ダンス×人形劇「エリサと白鳥の王子たち」は、コンテンポラリーダンスと人形劇を融合させた、初めて舞台芸術を鑑賞する子どもたちにも親しみやすい当財団の自主制作作品です。今回、本助成を頂いた「ニッセイ名作シリーズ」公演では、松山(愛媛)、北九州(福岡)、大東(大阪)の3都市で6公演を、全て無料招待の芸術鑑賞教室公演として実施、53校から5,632名の児童が来場しました。

このニッセイ名作シリーズ公演は、全国各地で児童・生徒をミュージカルやクラシックコンサートなど多彩なジャンルの公演に無料で招待する取り組みとして1964年から続けており、60年間の累計招待児童・生徒数は800万名を超えています。アンケートでは、「今日が舞台を観るのが初めてで、こんなことをするんだと知って本当に楽しかった。別の舞台も観てみたいと思った」(小4女子)、「舞台芸術に触れる機会が少ないため、とても貴重な体験だった。子ども達の情操教育としても、とても実りある時間だった」(4年担任)といった回答とともに、6割強の児童が「初めて舞台を観た」と回答するなど、特に舞台芸術の上演機会が少ない地域においては、子どもたちが地元の劇場で本格的な舞台作品を鑑賞出来る貴重な場となっています。

撮影:三枝近志

撮影:三枝近志

助成を受けて

本事業では、会場の使用及び鑑賞児童の移動・誘導等にかかる経費を除き、上演に必要な全ての経費を当財団が負担しています。特に今回のような演劇系の作品は、出演者・スタッフの人数やトラック等の台数が多く、旅費・運搬費の負担は財政上の大きな課題となっています。特にこのような芸術鑑賞教室公演では、学校(教育委員会)側に予算がなかったり、現地の劇場に経費の分担をお願いしたりすることが難しい中、旅費・運搬費に助成を頂くことによって公演回数を維持し、より多くの児童に舞台を提供することが可能となっております。

助成の意義

先述のとおり3都市6公演で5,632名の、その多くが舞台作品を初めて鑑賞する児童に、作品を届けることができました。幼少期の舞台鑑賞は居住する地域や家庭環境、保護者の興味関心に左右されるため、それら事情と関係なく子どもたちに舞台芸術を届けることができる本事業の重要性は、これまで公演を実施してきた各地の劇場、教育委員会や学校からも評価頂いております。令和4年度は引き続き新型コロナウィルス感染拡大の影響がありましたが、学校側もコロナ禍にあっても、状況を見極めながら出来るだけ児童の鑑賞機会を確保したいと考えるところが多く、当財団も原則として中止・実施は現地の判断を尊重し、鑑賞希望校がある限りは公演を届けることとしました。その方針がとれましたのは、巡回にかかる旅費・運搬費の相当分を充当できる本助成に採択いただけたおかげです。

今後の活動

当財団が管理・運営する日生劇場は2023年に開場60周年をむかえました。子どもたちを取り巻く社会課題も時代とともに変化している中ですが、今後も一貫して「児童・青少年の育成」「舞台芸術の振興」「舞台芸術を支える人材の育成」という基本理念のもと、日生劇場及び全国各地で、より多くの子ども達に舞台芸術に触れる機会を提供し、児童・生徒の情操の涵養と、わが国の芸術文化の振興に寄与してまいりたいと考えております。

公益財団法人ニッセイ文化振興財団[日生劇場]