助成事業事例

文化庁文化芸術振興費補助金助成事業令和4年度助成事業事例集

観世九皐会定例会

公益社団法人観世九皐会(助成金額:2,518千円)

左上:能「昭君」観世喜正(撮影:駒井壮介)、
左下:能「石橋」観世喜正(撮影:芝田裕之)、
右:仕舞 観世喜之(撮影:芝田裕之)

活動概要

能楽・観世流の一派で、観世九皐会(かんぜきゅうこうかい)と申します。約650年の歴史を持つ能楽のなかで、当団体としての活動開始は明治後期で、約120年の歴史を誇っています。

4代目当主の三世観世喜之のもと、玄人の門弟能楽師を50ほど抱え、東京新宿区の神楽坂にある矢来能楽堂を拠点として活動しています。

自己の所有する登録有形文化財の「矢来能楽堂」で、毎月定例公演などの主催公演を行うほか、全国各地での能楽公演に出演し、近年では学校教育の場などでの能楽の振興にも力を入れています。

助成を受けて

室町時代に大成した能楽はもとより時の権力者に擁護されることが多く、江戸時代は武家の式学として幕府や諸藩の保護を受け、明治期以降も新興財閥や愛好家(弟子)の後援によるところが大きかったのですが、近年は愛好家も減少し、スポンサーの確保が大変に困難となっています。能楽団体はいづれも、身銭を切っての自主公演を行うところが少なくない現状ですので、助成金制度は大いに活用したいところです。

助成の意義

近年のコロナ禍や物価高もあり、さらに能楽団体の経済状況は厳しい限りで、経費の削減などの企業努力だけでは限界があります。公的な助成を受けられることは何よりもありがたいことで、今後の能楽振興のためにも一般のお客様への負担増(チケット代金への転嫁)を課することなく、主催公演を続けることができる一番の近道であると思います。

今後の活動

令和4年に戦後再建70周年を迎えた「矢来能楽堂」を維持・活用し、自主公演の継続と能楽師自身の研鑽を重ね、能楽鑑賞初心者向けのわかりやすい公演を増やしてさらに新規客の獲得を目指し、時代のニーズに応じた伝統文化の在り方を模索してまいります。

公益社団法人観世九皐会