大衆芸能(太神楽) 研修修了生からのメッセージ
- 鏡味味千代(かがみ みちよ)
- 第5期太神楽研修(平成19年4月~22年3月)修了生
- 昭和51年4月生
- 山梨県出身
- 鏡味勇二郎に入門
- 平成22年5月 大演芸まつり(国立演芸場)において初舞台
太神楽の世界に入ろうと思ったきっかけを教えて下さい。
父に連れて行かれた寄席で太神楽に出会いました。
元々日本のことを伝える仕事をしたいと考えていたのですが、日本のおめでたさを凝縮したハッピーな芸能であること、長い間人々に愛されてきたれっきとした伝統芸能であること、そして言葉を使わずとも世界中で楽しんでもらえるものであるという太神楽を見て、自分でこれをやってしまえば夢が叶う!と思い、この世界に飛び込みました。
太神楽の演技者という仕事の魅力を教えて下さい。
太神楽には曲芸だけでなく、獅子舞やお囃子、茶番など、多岐に渡る芸があります。またその一つ一つの中にも、幾つもの演目や技があります。やってもやってもまだ先のある奥深さが魅力です。そして奈良時代に日本に入ってきたといわれているほど長い歴史のある芸ですので、その伝統を受け継ぐということにも誇りを持っています。
また太神楽はおめでたい芸のため、お祝いの場所でのお仕事も多いです。個人的には、結婚式や受勲など、沢山の方の人生のおめでたい瞬間に関われることがとても嬉しいです。
研修中と、舞台に立つようになってから、一番印象に残っていることを教えて下さい。
研修中は歌舞伎や長唄など分野の異なる研修生ともいろいろな話をすることができました。皆将来の夢に向かいまっすぐに向っている姿にお互い励まされ、また知らないことを教えあいました。芸人は孤独な仕事であると思います。しかし卒業した後も、ここで出会った仲間がどこかでがんばっていると思うと、また初心に戻ることができます。
卒業後に印象的だったのは、毎年1月に成田の参道の店を一つ一つ獅子舞で廻る内町と呼ばれるものに参加させていただいたことです。これは100年ほど続いている伝統行事だそうです。参道を歩きながら、100年の歴史を微力ながら担っていることにとても感動しました。
太神楽の研修生に応募を考えている皆さんにメッセージをお願いします。
私にとって国立での研修はまさに「日本への留学」でした。太神楽だけでなく、三味線や踊り、歌舞伎のことも学ばせていただきました。それまで日本人でありながら、こんなにも日本のことを知らなかったかと目が開かれた思いでした。学ぶ姿勢さえあれば思う存分学び稽古できる環境がここにはあります。
応募を迷っている方、決断がつかない方もいるかと思います。この世界は自分の力や努力だけが頼りになる世界です。その覚悟を持てるかどうかを、自分に聞いてみてください。
卒業後はプロの芸人として舞台に立つことになります。つまり人生を左右する大きな三年間を国立劇場で過ごすことになります。ぜひ太神楽の稽古に励みつつ、貪欲に様々なことを吸収してください。