公式アカウント
公演カレンダー チケット購入
English
カレンダー チケット
国立能楽堂

トピックス

【千駄ヶ谷だより】国立能楽堂10月主催公演がまもなく発売です!

 

狂言 酢薑

 都に上がってきた摂津国の薑(生姜)売りと和泉国の酢売りは、互いに「先祖が参内して商人の司(つかさ・市場の特権商人)の許しを得ているので、この市を取りまとめる権限がある」と言い張って譲りません。そこで秀句(しゅうく・駄洒落)好きの二人は、秀句を言い合い勝った方が商人の司だと認める、ということにします。それぞれに、商売物の薑と酢にちなんだ秀句をつぎつぎと繰り出しますが…。

能 巻絹

 「諸国から千疋(せんびき・一疋は反物二反分)の巻絹を集めて三熊野(熊野三社)に奉納せよ」との宣旨が出され、任に当たった帝の臣下が熊野に赴き、各地から届く巻絹を取りまとめています。ところが都からの使いだけが、期限を過ぎてもまだ到着していません。実は、都を出立した荷役の男は、熊野に到着するとまず音無天神に参詣し、梅の香にひかれて胸中に詠んだ和歌を神に手向けていたのです。その後、男は臣下のもとに向かいますが、すでに定められた期日は過ぎており、臣下は罰として男を縛りあげます。すると天神が乗り移った巫女が登場し、男が参詣のために遅れたことを告げ、天神に捧げた歌が証拠となって男は赦免されます。臣下の求めで巫女が祝詞をあげ神楽を舞うと、熊野の神々が次々と巫女に憑依して神の物語をし、やがて天へと帰っていくのでした。

 

狂言 舟渡聟

 今日は最上吉日(さいじょうきちにち・祝い事をするのにこの上なくよい日)で、結婚後に初めて妻の実家を訪れる「聟入り」の儀式のため、聟が舅のもとへと向かっています。途中、渡し舟に乗ると、聟がもっている手土産の酒樽と肴に目をつけた船頭は、「寒いから一杯飲ませてくれ」とせがみます。聟は「祝儀の手土産だから手をつけられない」と断りますが、船頭の嫌がらせに屈して、ついに酒を飲ませてしまいます。残りわずかになった酒樽を携えて聟が舅の家に到着すると…。

能 天鼓

 中国・後漢の時代。天から降ってきた不思議な鼓をもつ少年・天鼓は、「鼓を差し出せ」という皇帝に背き、呂水(ろすい)に沈められてしまいます。以来、その鼓は誰が打っても鳴ることはありませんでした。けれど、召しだされた天鼓の父・王伯(おうはく)が打つと、鼓からは妙なる音が響きわたったのです。皇帝は王伯に恩賞を与え、天鼓の魂を弔うことを約束します。やがて管絃講(かげんこう・音楽を奏す法会)がはじまると、天鼓の霊が現れ、鼓との再会を喜び、弔いに感謝して舞うのでした。
 「弄鼓之楽」の小書(特殊演出)により、後半で天鼓の霊が舞う楽(がく・異国情緒を漂わせた囃子による舞)にさまざまな工夫がこらされ、遊舞の趣がより強調された演出となります。

 

 能・狂言を初めてご覧になる方にも親しみやすい作品を選んで、コンパクトに上演する入門向けの公演です。公演当日の上演前には、ロビーに能楽体験コーナーを設け、舞台では能楽師による簡単なプレトーク(解説)があります。
※ 体験コーナーは午後5時30分~午後6時30分、プレトークは午後6時30分開始

狂言 盆山

 今、世間では盆山(盆の上に石や砂で風景を象(かたど)った箱庭のような置物)が大ブーム。男はかねてから、豪華な盆山をたくさん所有する知り合いに、ひとつ欲しいと頼んでいるのですがいっこうにくれません。そこで、盆山を盗み出そうとこっそりその家に忍び込みますが、家の主人に見つかって、とっさに盆山の陰に隠れました。男が顔見知りと気づいた主人は…。

能 龍田

 旅の途中、龍田川を渡って龍田明神へ参詣しようとする僧の前に女が現れ、「この川をむやみに渡ってはならない」と制止します。不審に思う僧に女は「考えなくこの川を渡ることは神慮に背き、神と人との仲を絶つことになるのだ」と、古歌をひいて諫めます。この社の巫女だと名乗った女は、僧を社殿へと案内し、冬だというのに今を盛りと色づく紅葉が神木であることを語ります。そうして宮廻りをするうちに、さらに自らが龍田明神であると明かすと、社殿の中へと消えていきました。
 僧が夜を徹し神に祈りを捧げていると、龍田明神が姿を現わします。冴えわたる月光のもと、錦の紅葉が散るなかで夜神楽を舞った龍田明神は、やがて天へと上がって行くのでした。

 

 海外からのお客様に能楽に触れていただけるよう、わかりやすく楽しめる作品を選んで、冒頭では英語の解説を行います。解説と上演には6カ国語の字幕(日本語、英語、中国語、韓国語、スペイン語、フランス語)が付きますので、どなたさまでもお楽しみいただける公演です。

狂言 痩松

 近頃めっきり稼ぎが悪い山賊。仲間内では、稼ぎが良いときを「肥松(こえまつ)」、悪いときを「痩松」と言い、今日こそは肥松になりたいものだと山に仕事に出かけます。山中で待ち構えていると、親元へと向かう女が通りがかり、その持ち物を奪い取ることに成功しました。山賊は嬉々として袋の中身の点検をはじめますが…。

能 花月

 筑紫国・彦山(ひこさん)の麓に住む男は、当時七歳の子と生き別れになってしまいました。今は出家して僧となり、行方知れずのわが子を探して都へとやってきます。清水寺に着き、門前の男に「このあたりで何かおもしろいことはないか」とたずねると、「地主(じしゅ)の曲舞(くせまい)」というおもしろい芸を見せる花月という少年がいるといい、呼び出すことにします。花月が巧みな芸をさまざまに披露するのを見物するうち、僧は花月がわが子と気づき、父と名乗りをあげてともに故郷に帰ることにします。旅立つ名残にと羯鼓かっこの舞を促された花月は、天狗にさらわれて行方不明になったいきさつや父との再会の喜びを謡い舞い、やがて親子して仏道修行へと赴いて行くのでした。

【文/氷川まりこ(伝統文化ジャーナリスト)】

 
●10月主催公演発売日
  • ・ 電話インターネット予約:9月10日(火)午前10時~
  • ・ 窓口営業日:9月14日、20日、26日、10月9日、12日、18日、22日、26日
      国立能楽堂チケット売場窓口・自動発売機は国立能楽堂主催公演日のみの営業となります。
      詳細は「国立能楽堂 チケット売場営業時間変更のお知らせ(2024.8.1)」をご覧ください。
  国立劇場チケットセンター(午前10時~午後6時)
  0570-07-9900/03-3230-3000(一部IP電話等)
  https://ticket.ntj.jac.go.jp/