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国立劇場

研修修了者インタビュー 清水登美(しみずとみ)(平成30年3月第14期寄席囃子研修修了)※令和元年8月掲載

《学生時代からの憧れ》
Q. 研修を受けようとしたきっかけは何ですか?
A. 学生時代、先輩に連れられて寄席に通ううちに、お囃子が気になるようになりました。三味線は小さい頃から芸事として身につけている人がやっているイメージがあり、ただ素敵だなと聞いていただけだったのですが、養成所があると知り、長唄のお稽古を始めました。

Q. 研修生になる前は何をしていましたか?
A. 直前は子育て中で、週3~4で経理の仕事をしていました。

《授業は宝物》
Q. 研修中、苦労したことは何ですか?それをどうやって克服しましたか?
A. 時間と体調管理です。無理をするしかない時も多々あります。だからといって体調を崩しては意味がありません。また家族がいますので、衣食住には困りませんでしたが、独身時代でしたら苦労したかもしれません。奨励費貸与制度がありますし、宿舎から通っている研修生もいました。

Q. 研修生活の印象をお聞かせください。
A. 授業は今も宝物です。内容のみならず、先生方の熱意や想いを感じることができて、得難い経験でした。

《母として、お囃子として》
Q. 寄席囃子演奏家として、日常生活で心がけていることは何ですか?
A. 毎日のことなので、やはり休んでご迷惑をかけないための体調管理です。

Q. ご家族やご友人は、研修を受けたことや、寄席囃子の仕事に就いたことについて、どう思っていらっしゃいますか?
A. 家族と友人の理解と協力がなければ続けられませんでした。家族といっても親は遠方で実際の協力はありませんでした。研修生時代は、ちょうど下の子が小学校に上がる時で、子どもたちの我慢も含めて協力してもらいました。家族は今も応援してくれています。友人にも恵まれていると思います。

Q. 仕事と家庭の両立について、苦労・工夫していることはありますか?
A. できるところまではやって、できないところは家族にはっきり伝えてお願いしています。例えば夜席の時は、夕方以降の家事は物理的に無理なので、わかった時点で早めに伝える、極力負担をかけないようにできることはやっておく、などです。家でもやらなければならないことがあるので、寄席囃子の世界に縁のない生活を送っている家族を巻き込まないよう、家族が寝ている時間にするようにしています。

《大変さも含めてわくわくした日々》
Q. 「寄席囃子」の魅力は何ですか?
A.学生時代、寄席に通っていたころの自分がつい耳を傾けたように、寄席らしさが感じられるところです。やっている中での魅力は、長唄だけでなく古典から童謡、現代曲まであらゆるジャンルの曲を弾けることです。

Q. 今後の抱負をお聞かせください。
A. 就業してからようやく2年目になりますが、反省するところは必ずあって、落ち込む日々です。そして引きずる間も無く次の日がやってくるので、改善するチャンスがすぐにあるとも言えます。失敗も反省も経験として積み重ねていく事で、少しずつでも成長し続けたいです。
お客様が寄席を耳で感じていただけるのはもちろん、師匠や先生方が気持ちよく高座に上がれるような三味線が弾けるようになりたいです。

Q. 研修生を目指す方にメッセージをお願いします。
A. 研修の2年間は厳しいです。研修を修了しても終わりのないことを、今痛感していますが、まずはお囃子としてのスタートラインに立つためのあらゆることを2年間で詰め込むのですから、教わる量は相当多いです。時間が欲しい、体力が欲しい、すぐに覚えられる記憶力が欲しいと思っていました。研修期間中に教わったことは全て役に立っています。
養成所のことは20代で知りましたが、「三味線の素養のある者」という応募資格を見て、それなりの経験と年数を積まなければいけないだろうと思い、一度は応募を見送りました。でも、「まだ三味線を始めて数年だから」とためらう方がいらっしゃるなら、やる気次第でいくらでも勉強していけると伝えたいです。
当時飛び込まなかった結果、結婚出産を経て、年齢制限ぎりぎりで、二児の母として研修を始めることになりましたが、それはそれで若い時にはなかった制約の中での大冒険で、大変さも含めてわくわくした日々です。
ですので、経験の長さに関係なく、若くてもそうでなくても気持ちのある方は是非応募して欲しいです!