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国立劇場

研修インタビュー 竹本樹太夫(たけもといつきだゆう)(平成29年3月第22期竹本研修修了)※令和元年8月掲載

《竹本を好きになった少年時代》
Q. 研修生になろうと思ったきっかけは何ですか?
A. 観劇好きな母の勧めで、3歳から中学3年生まで地元の大阪で子供歌舞伎をやっていて、竹本が好きになりました。同じく子供歌舞伎をやっていた兄(片岡愛治郎。第22期歌舞伎俳優研修修了者。)が俳優の研修生を目指すことになり、私も募集を見て、一緒に研修生になろうと思いました。

Q. 研修生になる前は、竹本のお稽古をしていましたか?
A. 長唄三味線を習っていましたが、竹本は未経験でした。子供歌舞伎で竹本の先生方にお世話になっていましたので、先生方のことは存じておりました。

Q. 研修生に応募するにあたって、竹本を選んだのはなぜですか?
A. 竹本は家柄に関係なく活躍できるチャンスが多いという理由で、母に背中を押してもらいました。

Q. 竹本コースでは、開講から約半年後の適正審査の後に太夫と三味線の専攻を決めますが、樹太夫さんはなぜ太夫を選ばれたのですか?
A. 小さいころからずっと三味線をやってきていたので、元々は三味線志望でした。ですが、声を出すことが好きで、最終的には太夫の道に進むことを決めました。

《とにかく声を出して乗り切った!》
Q. 研修ではどのような指導を受けますか?
A. 先生のお手本を聞いて、その場で繰り返して自分で語ってみて、先生からご注意いただきます。演目の最初から最後まで細かく教えていだだきます。

Q. 先生方のご指導はどのような感じですか?
A. 丁寧で、比較的優しいと思います。先生方のおかげで、初心者でも安心してプロを目指せます。

Q. 研修中に苦労したことは何ですか?
A. 語りの音程を習得するのが大変でした。特に高い声を大きく発声するのが難しかったです。また、私の場合は、研修期間中に変声期になってしまったので、声が出なくなってしまい、苦しかったです。とにかくいろいろなやり方で声を出して乗り切りました。

《尊敬する兄と二人暮らし》
Q. 研修生になって、初めて親元を離れて暮らされたようですが、そういったお話も聞かせてください。
A. 兄も一緒に研修生になったので、ともに上京し、二人暮らしを始めました。今でも一緒に住んでいます。たまに同期の俳優研修修了者が私たちの家に泊まりに来ます。

Q. 研修中に、何かお兄様との思い出はありますか?
A. 2年次のあげざらい(国立劇場内部で行う小規模なおさらい会)で兄と共演した時に、兄から初めて褒められました。尊敬する兄ですね。

Q. 食事は自分たちで作っていましたか?
A. はい、自炊していました。月に一度、母が様子を見に来てくれました。

《緊張で震えた歌舞伎座デビュー》
Q. 研修を修了してから、稽古はどのように行っていますか?
A. 毎月の歌舞伎の興行では、興行の始まる半月前頃に役を知らされます。先輩方から床本(ゆかほん)をお借りして勉強したり、お稽古をつけていただいたりして、本番に備えます。家やカラオケボックスで稽古していますが、家だとそんなに大きな声は出せないですね。河川敷で稽古されている先輩もいらっしゃいます(笑)。

Q. 竹本の太夫として仕事をする中で、最も印象に残った出来事は何ですか?
A. 初めて歌舞伎座で演奏した時のことです。本当にたくさんのお客様の前で、しかもとても広い舞台で語ったので、緊張で震えました!

Q. 演奏家として日々心掛けていることはありますか?
A. 声は一日でも出さないと出なくなってしまうので、毎日声を出すようにしています。温水でのうがいはかかせません。

《一挺一枚で挑む》
Q. ズバリ、竹本の魅力とは何ですか?
A. 一挺一枚(三味線1人、太夫1人)で舞台に上がることです。自分の声で舞台が進んでいくのはとても気持ちがいいです。

Q. これから挑戦してみたい演目はありますか?
A. 子供歌舞伎で取り組んだ義太夫狂言には思い入れがあります。2018年の「音の会」(国立劇場養成研修修了者及び若手演奏家による演奏)で語った「吃又」が好きです。

Q. 今後の抱負を教えてください。
A. 先輩方のようになりたいです。まずは目先のことをひとつずつ頑張ります。

Q. 最後に、竹本の研修生募集に応募したいと思っている読者の方に向けて、メッセージをお願いします。
A. 楽屋まわりの作法など覚えることが多くて大変かもしれませんが、先輩方も丁寧に優しく教えてくれますので、気軽に応募してください!