歌舞伎公演ニュース

2024年6月4日

【6月歌舞伎鑑賞教室】

『恋飛脚大和往来
―封印切―』好評上演中、
21日(金)まで!

(舞台写真あり)

 初代国立劇場閉場後初めての〈歌舞伎鑑賞教室〉。
 今回は、上方の風情漂う名作『恋飛脚大和往来(こいびきゃくやまとおうらい)―封印切(ふういんきり)―』です。サンパール荒川で、初日の幕が開きました!

〈歌舞伎鑑賞教室〉は初めての方にも分かりやすい解説付きで、歌舞伎の名作や名場面をお手頃な価格でお楽しみいただける公演です。

 舞台写真とともに、公演の魅力をご紹介します。

◆◆◆

 「解説 歌舞伎のみかた」のご案内は、澤村宗之助です。歌舞伎独特の表現技法の解説などを交えながら、「飛脚ってどんな仕事?」「二百五十両って今だといくら?」など、今回上演する「封印切」をご覧いただく上で重要なポイントを丁寧にご紹介します。歌舞伎が初めての方も、楽しく気軽にご鑑賞いただけます。



「解説 歌舞伎のみかた」
(澤村宗之助)

 続いて、『恋飛脚大和往来―封印切―』の上演です。

 井筒屋の店先で、田舎の大尽が太鼓持や仲居などを集めて酒を飲んでいます。店の主人おえん(中村鴈成)を呼び出し、そこへ梅川(市川高麗蔵)を呼ぶように頼みます。
 大尽は姿を見せた梅川と一緒に奥座敷へと連れ立とうとしますが、おえんが梅川に話があると言って、大尽を先に奥座敷へ行かせます。



[左より]井筒屋おえん(中村鴈成)、
遊女梅川(市川高麗蔵)

 二人きりになり、梅川の様子を察したおえんが尋ねると、身請けすると手付金まで払った忠兵衛が約束の日になっても姿を現さず、また手紙を送っても返事がないとのこと。


[左より]井筒屋おえん(中村鴈成)、
遊女梅川(市川高麗蔵)

 嘆く梅川のもとに、亀屋忠兵衛(中村鴈治郎)がやってきます。しかし、大尽が呼んでいる、と梅川は仲居に連れていかれてしまいます。おえんが、後で裏の切戸から忍んで来るように耳打ちすると忠兵衛は喜んで去っていきました。



亀屋忠兵衛(中村鴈治郎)

 井筒屋の裏手に忠兵衛とおえんに連れてこられた梅川がやってきました。
おえんは、今宵のうちに一緒になるのかどうか心を決めるよう二人に言い残して去っていきます。
忠兵衛と梅川はお互いの気持ちを確かめ合い、忠兵衛は数日のうちに必ず金を届けて身請けすると慰め、二人は手を取り合いました。
再びおえんがやってきて、二人のために二階の部屋を用意します。



[左より]遊女梅川(市川高麗蔵)、
亀屋忠兵衛(中村鴈治郎)

 梅川の抱え主である槌屋治右衛門(坂東彦三郎)が井筒屋にやって来ると、梅川を呼びます。治右衛門は、大尽をさしおいて忠兵衛の味方をして手付金を受け取りましたが、期限を過ぎても残金を持ってこないため困っています。そこへ、八右衛門からも身請けの申し入れがあり、治右衛門も資金繰りが厳しいため、このままだと八右衛門のもとに行ってもらわなければならない、と告げます。しかし、梅川はどうしても忠兵衛の元に行きたいと懇願し、治右衛門もそれを受け入れます。



[左より]井筒屋おえん(中村鴈成)、
槌屋治右衛門(坂東彦三郎)、
遊女梅川(市川高麗蔵)

 そこへ、肝入由兵衛(中村寿治郎)が治右衛門を訪ねてきます。治右衛門は借りた金の返済を催促されると、二百五十両で身請けする話があるのでもう少し待つように由兵衛に伝えます。そして、金の用意ができるまで居座ろうとする由兵衛は、仲居になだめられて奥へ連れていかれます。



[左より]肝入由兵衛(中村寿治郎)、
井筒屋おえん(中村鴈成)、
遊女梅川(市川高麗蔵)、
槌屋治右衛門(坂東彦三郎)

 すると、八右衛門がやってきて、梅川の身請けの金二百五十両を治右衛門に受け取らせようとします。梅川との約束があるため、治右衛門は八右衛門の話を断ります。
 身請けの話が断られたのは忠兵衛のためと察した八右衛門は、忠兵衛は亀屋の養子であり、実父が百姓であることを嘲るなど、悪口を言います。聞くに耐えないおえんは忠兵衛の味方をし、また、二階にいる忠兵衛も我慢できずに八右衛門の前にやってきます。
そして、忠兵衛は、実父から貰った金があると見栄を張ってしまい、八右衛門はその金を見せてみろと挑発します。



[左より]亀屋忠兵衛(中村鴈治郎)、
丹波屋八右衛門(中村亀鶴)

 実は、忠兵衛の懐には蔵屋敷へ届ける公金の三百両があったのです。忠兵衛は、懐の公金を取り出しますが、八右衛門の挑発に乗ったはずみで包みの封印が切れてしまいます。信用が第一の飛脚が預かった金包みの封を切ってしまえば、死罪は免れません。



[左より]亀屋忠兵衛(中村鴈治郎)、
丹波屋八右衛門(中村亀鶴)

 すると……!忠兵衛は残りすべての封を切って、小判を撒き散らしたのです。切れた封をこっそり拾った八右衛門は、役所に訴えるために走り去ります。一方、忠兵衛は、二百両を治右衛門に渡し、梅川の身請けの手続きを急いでするように頼みます。



[左より]亀屋忠兵衛(中村鴈治郎)、
丹波屋八右衛門(中村亀鶴)

 二人きりになった忠兵衛と梅川。忠兵衛が梅川に事実を打ち明け一緒に死んでほしいと告げると、梅川は……。



[左より]亀屋忠兵衛(中村鴈治郎)、
遊女梅川(市川高麗蔵)

◆◆◆


 上方の風情が漂う世話物の名作である本作は、初めての歌舞伎鑑賞にもぴったりです。 観劇の手引きになる豆知識をコンパクトにまとめた歌舞伎読本やプログラムの無料配布もございます。
 5日(水)・6日(木)には、午後6時30分開演でお勤め帰りの方にもご観劇いただきやすい「社会人のための歌舞伎鑑賞教室」を開催します。また、20日(木)には、無料の英語字幕・イヤホンガイド付きで楽しめる「Discover KABUKI ―外国人のための歌舞伎鑑賞教室―」がございます。
 また、本公演は、地方公演として神奈川県と静岡県でも上演いたします。6月23日(日)・24日(月)は神奈川県立青少年センター・紅葉坂ホール、6月26日(水)は静岡県コンベンションアーツセンターグランシップで開催します。

 皆様のご来場をお待ちしております。

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