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松右衛門の「足」

初代吉田玉男(1919~2006)の芸談に、足遣い時代の話として、

 「逆櫓」の中盤、樋口次郎兼光と見顕されてから、三人の船頭を相手に大立廻りを演じるところがあって、足遣いも大いに活躍できる。そこが面白くて、毎日楽しみでした。(『吉田玉男 文楽藝話』、吉田玉男・森西真弓著)

とあります。

 そんな「逆櫓の段」で樋口の足を遣うのは吉田玉路です。


吉田玉路

ー「逆櫓の段」の足でやりがいがあるところ、あるいは難しいところはどんなところでしょうか?

玉路:船頭の衣裳は裾を絡げているので足の動きが目立ち、大立ち廻りもありますので足遣いが活躍できる場面です。その反面、未熟な部分も目立ってしまうため気合を入れて挑みます。 一番の見所は松右衛門が樋口であると正体を顕す場面でしょうか。手足を大きく動かす勇壮な型があり、その名前は、ズバリ「樋口」!それを含めて、格好良いポーズが連続する非常に盛り上がる場面です。 毎日、浄瑠璃に合わせて「樋口の次郎、か~ね〜み〜つ〜!!」っと僕も心の中で叫びながら遣っております(笑)。

全体にキビキビと動き回り続けなくていけませんので、技術はもちろん、相当の体力も必要です。足遣いは襦袢を絞れるくらいに汗だくになります。


ー今回は、「松右衛門内の段」の後半、動きが少ない場面も担当されています。「逆櫓の段」との違いを含めていかがですか?

玉路:着流しの衣裳の時の足は一見地味に見えますが、船頭の衣裳となった時よりも実は難しいのではないかと僕は思っています。というのも、樋口の本来の武将としての風格を、少ない動きの中で表現しなければならないからです。

人物が纏っている雰囲気や質感は人間のどういった所から生まれるのか、どうやってそれを人形から感じていただけるようにすればよいのか、普段からよく考えます。

大事なところでキメポーズの型も見せていきますので、そこで大きく動かし力強さを表現したくなりますが、衣裳が捌けて格好が崩れてしまいますので神経もつかいます。

最初に登場する際の裃の衣裳の足は、初めて持たせていただいた師匠(吉田玉男)が遣う文七の首の役の足で、大変緊張したことを覚えています。とても思い入れのある足です。今回は弟弟子の玉征君が遣っております。

―お客様に一言お願いします。

玉路:いわゆる「三大名作」に劣らない傑作、『ひらかな盛衰記』。あっという間の四時間半です。力強い師匠の人形に負けないよう私も精一杯努めて参ります。

影で活躍する黒衣達も応援していただければ嬉しく思います!北千住で皆様をお待ちしております。

 

主遣いのほか左遣い、そして足遣いが3人でイキを合わせて1体の人形を遣う、文楽ならではの動きにご注目ください。

 

5月文楽公演は27日(月)まで!

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※残席がある場合のみ、シアター1010にて当日券の販売も行っています。

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