国立劇場
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歌舞伎公演における出演者の飛沫飛散検証を行いました
日本芸術文化振興会(国立劇場)では、歌舞伎公演の再開に向けてお客様に安心して公演をお楽しみいただけるように、実際の歌舞伎公演を想定して歌舞伎俳優及び歌舞伎音楽の演奏者(長唄及び竹本)の発声による飛沫の飛散状況の検証を行いました。
検証にあたっては、カトウ光研株式会社の微粒子可視化システムを用いました。検証実験当日は、歌舞伎俳優、長唄演奏者、竹本演奏者及びスタッフの検温と体調確認を行ったうえで実施しました。
日時:令和2年8月18日(火)午後3時~6時
場所:国立劇場・大劇場
長唄及び竹本の演奏者についての検証実験では、山台と同じ高さにセリを上げた舞台に演奏家が座り、本番同様に唄と語りの発声を行いました。発声による飛沫の飛散状況をレーザーで可視化して、検証しました(下の写真の緑の光線は、飛沫を含む空気中の微粒子を可視化するためのレーザー光線です)。
《検証結果1》
長唄演奏者(唄方)が山台に座った状態で発声した場合の飛沫の飛散状況
・マスクなしでの発声の場合、30㎝程度の飛沫の飛散が確認できました。
・マスクを着用しての発声の場合、飛沫の飛散はほとんど見られませんでした。
《検証結果2》
竹本演奏者(太夫)が山台に座った状態で発声した場合の飛沫の飛散状況
・マスクなしでの発声の場合、40~55㎝程度の飛沫の飛散が確認できました。
・マスクを着用しての発声の場合、飛沫の飛散はほとんど見られませんでした。
歌舞伎俳優の検証実験では、本舞台と花道の七三に立って本番同様に台詞の発声を行い、飛沫の飛散状況を検証しました(※公演を想定して、マスク無しでの発声で検証を行いました)。
《検証結果3》
歌舞伎俳優が本舞台と花道に立った状態で発声した場合の飛沫の飛散状況
・70~140㎝程度の飛沫の飛散が確認できました。
・舌を巻くような発声や、破裂音の発声で顕著に飛沫の飛散が確認されました。
歌舞伎公演の再開にあたっては、上記の検証結果を踏まえた以下の対策について、感染症専門医の確認をいただきました。
◎舞台及び花道で演技する俳優からお客様の座席までの距離を2メートル以上確保するため、当面の間は、最前列の座席や花道に面する座席、花道の七三付近の座席については販売を控えることといたします。
◎舞台上での飛沫感染を避けるため、当面の間は、長唄や竹本などの音楽の演奏者はマスクを着用して演奏を行います。
国立劇場では、お客様に安心して公演をお楽しみいただけるよう、出演者、スタッフ等と協力して新型コロナウイルス感染予防対策を徹底してまいります。
また、お客様へ感染予防対策へのご協力もお願いしております。以下をご来場前に確認いただき、何卒ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
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