文化庁文化芸術振興費補助金助成事業令和4年度助成事業事例集
株式会社 北前船(助成金額:33,841千円)
太鼓芸能集団 鼓童は、新潟県佐渡島に拠点を持ち国際的な演奏活動を行っている、和太鼓を中心とした芸能集団です。
令和4年度の助成事業として、創立40周年を記念して初演された5作品の一作目である「鼓童ワン・アース・ツアー2023:鼓」北米ツアーを、アメリカ、カナダで33回の公演を実施しました。
応募当時は新型コロナウィルスの影響が続いており、予測不能な公演キャンセルや、各種燃料費の高騰や円安による現地コストの上昇などで、安定したツアー収支の確保が危ぶまれる状況であったため助成をお願いすることにいたしました。
全33公演中13公演でチケットが完売しました。総動員数は前回2019年の北米公演よりも増えており、その要因としてはコロナ禍を経て4年ぶりの北米ツアーに、鼓童の舞台や太鼓音楽の特徴である共感性への期待が寄せられたためと考えられます。また助成金によりツアー準備の負担が軽減したことで、各地へのプロモーション作業により注力できたことも大きな要因です。
すべての公演会場に現地の太鼓グループ、太鼓演奏家の方々の来場があり、いずれも太鼓音楽の最先端の表現である本作に大きなインスピレーションを感じたとのコメントがありました。また太鼓ジャンル以外にも映画やエンターテインメントの関係者が来場し、舞台への好意的なコメントをいただくとともに将来の協働作業に向けて意見交換を行うことができました。さらに来場者からは「日本文化に対する興味が喚起された。」「いつか訪日して日本で鼓童が観たい」などの感想もいただきました。
ツアーでの公演活動と並行し、一部の公演地で学生や一般向けのデモンストレーションとレクチャーを行い、グループの活動やその背景を伝えました。加えて各地の日系人コミュニティと劇場が連携し、日本文化のイベントやプレコンサートトークや地元の太鼓グループによるデモンストレーションを実施することで、多層的に日本文化への関心を喚起することができました。
特に海外公演においては、各劇場で作品を上演するのみにとどまらず、来場者や地域の方々にアーティストのバックグラウンドや日本の文化について伝えることの重要性を感じています。
引き続き活動の根幹となる公演活動(ワン・アース・ツアー)を通して、世界の方々に太鼓の響きを届けていきたいと考えています。具体的には現在一年ごとに交互に実施している北米とヨーロッパの約2ヶ月のツアーに加えて、アジアや中東、南米、太平洋地域などでの定期的な公演開催を目指しています。また太鼓の持つ様々な価値を、ワークショップや楽曲提供、レクチャーなど、それぞれに応じた形で提供することで、よりよい社会づくりへ貢献できればと思います。
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