芸術文化振興基金助成事業令和4年度助成事業事例集
仙北市(助成金額:500千円)
左上:記念講演〈ビデオ出演〉、右上:基調講演
左下:パネルディスカッション、右下:角館小学校児童による「桜の町の案内人」実演
仙北市は、秋田県の東部中央に位置し、岩手県と隣接している地域です。ほぼ中央に水深が日本一である田沢湖があり、東に秋田駒ヶ岳、北に八幡平、南は仙北平野へと開けています。地域の約8割(892.05㎡)が森林地帯で、奥羽山脈から流れる河川は、仙北地域の水源となっています。
深い木立と重厚な屋敷構えが今もなお藩政時代の面影を残す町「角館」は、江戸時代、関ヶ原の戦い後の大名配置換えで、かつて会津の雄であった芦名義勝が佐竹氏より1万5千石を与えられ治めることになりました。芦名氏は、元和6年(1620年)に新しい城下町建設に取り組み、南北に伸びる町の中央に土塁を築いた「火除け」を設け、武士居住区の「内町」と町人居住区の「外町」、外縁部に寺社を置く町割りを行いました。古城山山麓から火除け前までの武士居住区が、昭和51年9月に重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
令和2年(2020年)は、芦名氏によって角館の町割りが行われた1620年から400年の節目の年にあたるため、記念シンポジウムの開催を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で2年間延期となり、令和4年度に開催することができました。
また、シンポジウムの記録を報告書としてまとめ、市内の文化施設や小中学校、官公庁、他の伝統的建造物群保存地区に配布しました。今後の町並み保存の一助となるべく活用されるよう期待しているところです。
記念講演や基調講演の講師、パネルディスカッションの出演者など遠方からお迎えする方の旅費や、記録報告書の印刷製本に係る費用など、少しでも予算面で助成が必要だったので申請しました。
記念シンポジウムには、県内外から多くの方にご来場いただきました。地元小学校児童による「さくらの町の案内人」など文化財を継承するための様々な取組も紹介し、パネルディスカッションでは「角館の町並みを未来へ遺すためには、歴史教育や人材育成が重要」という、新たな100年に向かっての提言をいただきました。
400年の節目にあたって、先人が住みながら守り継いできた角館の町並みの価値を再認識し、歴史的なまちづくりのあり方について市民の皆さんと共に考えるよい機会となりました。
角館の町並みは、重要伝統的建造物群保存地区に選定されてから、令和8年で50周年を迎えます。今回の活動を一つの契機とし、50年に及ぶ町並み保存のあゆみを振り返り、市民と共にこれらの文化財を次世代につなげていく気運を高めていきたいと考えています。
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