国立能楽堂

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【千駄ヶ谷だより】 村雨に散る桜に揺れる熊野の心「熊野」(2月16日定例公演)

2月の能楽堂は《近代絵画と能》をテーマに特集します。
近代の画家が能や古典文学に着想を得た名画のイメージを手掛かりに、能の魅力をご堪能いただく企画です。
公演プログラムには関連する作品の図版を掲載します。
2月16日定例公演「熊野」に関連する絵画は、下村観山画「熊野観花」(東京藝術大学大学美術館蔵)です。

「熊野」あらすじ
平家隆盛の頃、平宗盛は遊女熊野を寵愛していました。
熊野は老母が病なので幾度も帰国を願っていましたが、宗盛は東山清水寺での花見に熊野を伴うために都に留め置いています。
牛車に乗り込み花見に向かう宗盛と熊野。清水寺に到着した宗盛は、桜満開の宴で熊野に舞を所望します。
熊野は美しく舞を舞いますが、村雨が降り出して花を散らしてしまいました。それを見た熊野は、母の命を散る花になぞらえた一首の歌をしたため宗盛に見せます。
歌に心を動かされた宗盛は、熊野に帰国を許します。


  「熊野」(平成12年9月定例公演より)

見どころ

作者は世阿弥の娘婿、金春禅竹と考えられ、禅竹は能楽伝書『歌舞髄脳記』で、「熊野」を「春のあけぼの」、能「松風」を「秋の夕暮れ」と比して、その風情を喩え、自ら最高の評価をしています。また江戸時代の言葉にも「熊野松風は米の飯」とあり、何度でも飽きずに鑑賞できる曲として人気を博しています。満開の桜の情景や熊野の心の動きを丁寧に描いた作品です。
今回は「花之留」という小書(特別演出)での上演で、熊野が[中ノ舞]を舞っていると、急に村雨が降り出し、途中で舞い留める演出に変わります。
また、花見に向かう場面では牛車を表す作リ物が出されて、舞台をより華やかに見せます。


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●国立能楽堂展示室では企画展「能の作リ物」を開催しています。併せてお楽しみください。
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