第一部 心中宵庚申 午前11時開演(終演 午後1時50分予定)

近松門左衛門最後の世話物

八百屋半兵衛(はんべえ)と女房のお千代(ちよ)という夫婦が心中した事件を題材にした世話物です。近松門左衛門は封建社会における家族制度が事件の遠因とし、現代の家族関係にも通じる内容に書き上げています。「上田村」は若き日の八代目竹本綱太夫により伝承されました。

八百屋半兵衛は女房お千代の実家で、お千代が半兵衛の留守中に姑去りにあったことを知ります。病床の舅・平右衛門(へいえもん)や姉のおかるの訴えに、半兵衛は死んでも別れないと誓い、お千代を連れ帰ります。養母はお千代が気に入らず、半兵衛にお千代と別れるように迫ります。孝心厚い半兵衛はやむなくお千代を人前で離縁してしまうのでした。深夜、夫婦は揃って家を去り、半兵衛は大仏の勧進所で、身重のお千代を刀で貫き、同じ刀で腹を切るのでした。

  • 上田村の段(平成20年5月公演より)
  • 八百屋の段(平成20年5月公演より)
  • 道行思ひの短夜(平成20年5月公演より)
第二部 午後2時30分開演(終演 午後5時20分予定)
花競四季寿

春の情景をうたう二景

近畿圏の四季折々の情景を綴った景事(音楽性と舞踊的要素が濃い演目)から、新年をことほぐ万才(春)、春の訪れを待ち望む鷺の化身が舞う鷺娘(冬)をご覧いただきます。

万才(平成27年2月公演より)
八代目竹本綱太夫 五十回忌追善 豊竹咲甫太夫改め 六代目竹本織太夫 襲名披露 口上

八代目竹本綱太夫(1904~1969)は生涯を文楽の興隆に捧げ、重要無形文化財保持者(人間国宝)、日本藝術院会員に任命された、近現代の文楽を代表する太夫でした。平成30年は五十回忌に当たり、その功績を顕彰することとなりました。併せて綱太夫の子息豊竹咲太夫の門弟豊竹咲甫太夫が、綱太夫の前名竹本織太夫の名跡を六代目として襲名いたします。

摂州合邦辻

玉手御前の恋の真相は

中世から伝わる継母継子の恋に隠された謎を、大名高安家のお家騒動を背景に描きます。代々の綱太夫が演じ、八代目も若き日に代役を勤めて認められたゆかりの演目です。

高安家の継室・玉手御前(たまてごぜん)は、病を患って出奔した継子・俊徳丸(しゅんとくまる)の後を追い、父合邦の家にたどり着きます。俊徳丸を独り占めにするために毒薬を盛ったと語る玉手に、清廉潔白な合邦は刃を突き立ててしまいます。瀕死の玉手は、俊徳丸の命を狙うもう一人の継子・次郎丸(じろうまる)から俊徳丸を救うため、自分の血が解毒に効くことを知り、毒を盛って出奔させたことを語るのでした。

  • (平成25年2月公演より)
第三部 女殺油地獄 午後6時開演(終演 午後9時予定)

親の慈愛を知った時は
手遅れだった

油屋の女房殺しの事件を題材として、複雑な家庭環境で育った主人公が、放蕩や家庭内暴力を重ね、強盗殺人にまで至る近松門左衛門の異色作です。豊島屋油店の段は、八代目綱太夫と十代目竹澤弥七の作曲です。

油商・河内屋与兵衛(よへえ)は、徳庵堤で騒動を起こし、向かいの同業者豊島屋の女房お吉(きち)に救われます。大坂に戻った与兵衛は、妹に実父の霊が憑いたことにして、養父に家督を譲るように迫ります。番頭上がりの養父は先代の実子の与兵衛に遠慮していましたが、実母に手を上げた与兵衛を勘当しました。高利貸しから借りた金の返済期限の夜、与兵衛はお吉に頼ろうとして豊島屋へ向かい、両親の自分への思いを立ち聞きします。与兵衛がお吉に借金を頼むとお吉は親達が預けた金を渡しますが、与兵衛はそれでは足りないとお吉を手に掛け、店の金を奪います。お吉の葬礼に現れた与兵衛は、犯行の証拠を突き付けられ、捕縛されてしまうのでした。

  • 徳庵堤の段(平成26年5月公演より)
  • 河内屋内の段(平成26年5月公演より)
  • 豊島屋油店の段(平成26年5月公演より)
  • 豊島屋逮夜の段
    (平成26年夏休み文楽特別公演(国立文楽劇場)より)