歌舞伎公演ニュース

2017年11月09日

11月歌舞伎公演『坂崎出羽守』『沓掛時次郎』好評上演中!

 3日(金・祝)、11月歌舞伎公演の幕が開きました。
 11月は心を揺さぶる〈新歌舞伎〉の名作二篇をお送りしています。
 『坂崎出羽守』は、徳川家康の孫娘・千姫を救ったとされる実在の武将の逸話をもとにした史劇で、山本有三が六代目尾上菊五郎のために書き下ろしました。六代目菊五郎から二代目尾上松緑、初代尾上辰之助(三代目松緑)と引き継がれた坂崎出羽守に当代の松緑が初役で挑んでいます。
 『沓掛時次郎』は長谷川伸の股旅物の代表作で、信州沓掛出身の博徒を主人公に、人生の裏街道を歩く男の真心と哀愁が、人間味に溢れた筆致で綴られています。今回、中村梅玉の沓掛時次郎を始め、中村魁春の三蔵女房おきぬ、尾上松緑の六ッ田の三蔵ほか好配役が揃いました。

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◎『坂崎出羽守』 ◎『沓掛時次郎』はここをクリック

第一幕 茶臼山家康本陣
第一幕 茶臼山家康本陣

 元和元年(1615)の豊臣・徳川両軍による「大坂夏の陣」。大坂城に火の手が上がる中、徳川家康(中村梅玉)は、敵方の豊臣秀頼に嫁いでいた孫娘の千姫を救い出した者に、重い恩賞を取らせると告げます。ただ一人名乗りを挙げたのは、津和野城主の坂崎出羽守(尾上松緑)。家康は無事に助け出したあかつきには千姫を妻に取らせると約束し、坂崎は燃え盛る城へ勇猛果敢に飛び込みます。戦陣の緊迫した空気の中で、坂崎が血気盛んな武者ぶりを見せます。

第二幕 宮の渡し船中
第二幕 宮の渡し船中

 猛火の中から千姫を救い出し、顔に火傷を負った坂崎。千姫(中村梅枝)を護送する船中では、千姫との距離を縮める本多忠刻(坂東亀蔵)への対抗心から、大人気ない振る舞いをしてしまいます。自身の行動が裏目に出てしまった坂崎のやり場のない想いが描かれます。

第三幕(二) 駿府城内表座敷の一室
第三幕(二) 駿府城内表座敷の一室

第四幕 牛込坂崎江戸邸内成正の居間
第四幕 牛込坂崎江戸邸内成正の居間

 坂崎を嫌う千姫。坂崎は、家康の相談役の金地院崇伝(市川左團次)から千姫との縁談を諦めるよう告げられます。崇伝の老獪ぶりに対し、藁にもすがる想いで千姫への一途な想いを訴える坂崎の哀れさが際立ち、胸が締め付けられます。
 その後、千姫が他家へ嫁入りすることはないという崇伝の言葉は裏切られます。千姫が本多家へ輿入れする夜、坂崎は必死の思いで怒りを抑えていましたが、間近に通る輿入れ行列を目の当たりにし、忠臣の松川源六郎(中村歌昇)の思わぬ行動もあり、ついに行き場のない想いを爆発させてしまいます。蒸せ返るような空気の中、坂崎の煮えたぎる胸の内が鬼気迫る演技で表されます。


◎『沓掛時次郎』

序幕(四) 再び家の外
序幕(四) 再び家の外

序幕(五) 三たび家の中
序幕(五) 三たび家の中

 一宿一飯の義理で六ッ田の三蔵(尾上松緑)を斬った博徒の沓掛時次郎(中村梅玉)は、死に際の三蔵から妻子の世話を頼まれます。命を狙われた三蔵の女房おきぬ(中村魁春)と息子の太郎吉(尾上左近)を連れて旅に出る時次郎。博徒の世界に身を置いた男たちとその家族の境遇が描かれます。夫の死に直面しても気丈に振る舞うおきぬと健気な太郎吉の姿が涙を誘います。

二幕目 中仙道熊谷宿裏通り
二幕目 中仙道熊谷宿裏通り

 中仙道熊谷宿。博徒の世界から足を洗った時次郎は、三蔵の子を身籠るおきぬとともに追分節を唄って家々を回り、生計を立てます。寒さ厳しい中で、互いを思いやりながら温かく寄り添う時次郎とおきぬ・太郎吉母子の様子が情感豊かに描かれます。

大詰(一) 熊谷宿安泊り
大詰(一) 熊谷宿安泊り

 やがて出産を間近に迎えたおきぬ。将来を案じた時次郎は、金策のため密かに博徒の喧嘩の助っ人を引き受けます。時次郎の手を握り、帰りを願うおきぬ。その後、仕事を終えた時次郎でしたが……。
 三蔵との約束を守り、残された母子に献身的に尽くしながら、おきぬへの想いを押し殺してきた時次郎。太郎吉を連れて熊谷宿を後にした路傍で「俺も逢いてぇ、逢ってひと言、日頃思ってた事が打ち明けてえが―未来永劫、もうおきぬさんにゃ逢えねえのだ」と呟き、おきぬへの想いを滲ませます。


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 心に沁み入る〈新歌舞伎〉の名作二篇をご堪能ください。7日(火)に続き、14日(火)にも、公演終了後に中村梅玉、尾上松緑によるアフタートークを開催します(当日ご来場のお客様限定の無料の催しです)。ご来場をお待ちしております!



11月歌舞伎公演は、26日(日)まで
12時開演 但し、10日(金)・17日(金)は午後4時開演

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